「家族が亡くなり、突然相続が発生してしまった」というケースは多く見られます。
そして突然多額の相続税を支払わなければならなくなってしまったという場合も多いでしょう。
このように急に発生した相続税を一度に払えない場合には、延納や物納という選択肢があります。
相続税の延納について
相続税は現金にて一括納付が原則です。
しかし、一時に納付することが困難な場合には一定の手続と要件を満たすことにより年賦延納が認められます。
【延納の要件】:下記すべてを満たす必要があります。
- 相続税額が10万円を超えること。
- 金銭での納付が困難である事由があり、かつ、その納付は困難である金額の範囲内であること。
- 延納税額と利子税の額に相当する担保を準備すること。
(延納税額が100万円以下+延納期間が3年以下の場合は不要) - 延納申請期限までに、必要書類を税務署長に提出すること。
なお、延納を利用した場合は年3.6~6.6%の利子税(特例割合が適用されるケースあり)を支払う必要があるので注意が必要です。
延納は分割で納付できるということで便利な方法ですが、長期間にわたって利子税がかかってしまうなどの負担もあり、金融機関から借り入れをして一時に返してしまった方が、利率が低いという場合もありますので検討してみてください。
相続税の物納について
延納でも納付が困難な場合には、一定の手続と条件のもと物納が認められます。
物納とは金銭の代わりに、主に不動産などの物で納める方法です。
物納できる財産は、何でもよいというものではなく国が管理処分するのに適したものでなければなりません。
【物納の要件】:下記すべてを満たす必要があります
- 延納によっても金銭納付が難しい事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度とすること。
- 物納申請期限までに、必要書類を税務署長に提出すること。
- 物納申請財産は、相続税の対象となる(課税価格計算の基礎となった相続財産)相続財産のうち、日本国内に下記順位の財産であること。
- 第一順位 国債、地方債、不動産、船舶
- 第二順位 社債・株式などの有価証券
- 第三順位 動産
- 物納とする財産は、物納に不適格とされる財産(管理処分不適格財産といいます)に該当しないものであること。また、物納劣後財産に該当する場合には、他に適当な財産がないこと。
物納する場合には、物納申請書を相続開始から10ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。なお、物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して本来の金銭による納付に戻すこともできます。