人が亡くなると相続が発生します。故人(被相続人)の遺産は相続人全員の共有財産となるため、相続人同士で遺産の分け方について話し合わなければなりません(遺産分割協議)。こちらでは、遺産分割協議についてご説明いたします。
遺言書が残されている場合
相続では、原則、法定相続分の割合よりも遺言書の内容が優先されますので、被相続人が遺言書を遺していた場合は、遺言書の内容が優先されます。この場合、遺言の内容に沿って遺産分割を行うことになるので、遺産分割協議を行う必要はありません。
かならず相続人全員が参加しなければならない
遺産分割協議を行う際は、必ず相続人全員が参加しなければなりません。どのような理由であれ、たった一人でも遺産分割協議に参加しない相続人がいると、たとえ話し合いがまとまっていたとしてもその遺産分割協議は無効となります。
なお、この「全員参加」というのは、必ずしも相続人全員が同じ場にいなければならないという意味ではなく、遠方にお住まいの方や入院などで対面することが難しい相続人は、電話や文書において協議に参加することが許されています。
遺産分割協議とは
民法では、各相続人の遺産の取り分の割合(法定相続分)が定められています。しかしながら、必ずしもこの割合に従わなければならないというわけではなく、相続人全員の合意を得ることで、自由な割合で分割することも可能です。この話し合いのことを遺産分割協議といい、相続財産について何を誰がどのくらい受け取るかについて話し合うことをいいます。
遺産分割協議が不要なケース
相続によっては、遺産分割協議を行う必要がない場合もあります。
(1)遺言書が存在する
先述したように、相続では遺言書は最優先されます。そのため遺言書のある相続では、その遺言内容に従うことになるため、遺産分割協議は必要ありません。
(2)相続人が1人だけ
相続人が1人しかいない場合は、その相続人がすべて相続することになるため遺産分割をする必要はありません。
(3)相続人が存在しない、または相続人全員が相続放棄した
相続人が1人もいない、あるいは相続人全員が相続放棄し、遺産を相続する人がいない場合は、利害関係人等が家庭裁判所に申し立てます。申し立てを受けた家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、その相続財産清算人が相続財産の精算等の手続きを進めます。
相続人が揃わない
遺産相続は、すべての相続人に平等に与えられている権利です。そのため、遺産分割協議はどのような状況であっても「相続人全員で」行わなければなりません。相続人の中に、行方不明の方、認知症などによって判断力の低下が認められる方、未成年者などがいらっしゃる場合は、遺産分割協議を進めるための法的な手続きを行う必要があります。このような方がいらっしゃる場合は、お早めに相続の専門家にご相談ください。