一人親方等は労働者に該当しないことから、本来は労災保険の適用対象外ですが、建設業においては一人親方等も現場で作業する労働者と同様とみなし、労災保険への特別加入が認められています。
一人親方等の労災保険特別加入の手続きは、所轄の労働局の承認を受けた「特別加入団体」を通して行われます。特別加入団体は事業主、一人親方等は労働者とみなして労災保険が適用される、という仕組みです。
加入時健康診断
労災保険に特別加入するにあたり、一人親方等が以下に該当する場合には、指定された健康診断を受ける必要があります。
加入時健康診断の対象と必要な健康診断
- 3年以上、粉塵作業を行う業務に携わった……じん肺健康診断
- 1年以上、振動工具使用の業務に携わった……振動障害健康診断
- 6か月以上、鉛業務に携わった……鉛中毒健康診断
- 6か月以上、有機溶剤業務に携わった……有機溶剤中毒健康診断
加入時健康診断は、労働局長が委託する診断実施機関にて受診します。このとき生じる健康診断費用は国の負担ですが、交通費は自己負担となります。
加入時健康診断の診断結果によっては、特別加入が制限される場合や、保険の給付が受けられない場合があります。
特別加入が制限されるケース
加入時健康診断の結果、一人親方等がすでに疾病にかかっており、療養に専念すべきと認められる場合は、特別加入することができません。
ただし、一人親方等がすでに疾病にかかっていたとしても、どの程度によって「疾病により従事できない特定業務」以外の業務については特別加入が認められることもあります。
保険を受給できないケース
特別加入前に発症した疾病や、特別加入前に生じた事由により発症した疾病に関しては、保険給付を受けることができません。たとえ特別加入時にその疾病の症状が軽く、特別加入が制限されない場合であっても、保険給付の対象外となります。
つまり、業務中の保険給付対象となるのは、特別加入後に発症した疾病で、その疾病が明らかに業務に起因して発症した場合に限られるということです。
保険の支給制限
特別加入した一人親方等が、業務中または通勤中にケガを負った場合には保険給付の対象となりますが、以下のケースでは保険の全部または一部の支給が制限されることがあります。
- 明らかに一人親方等の故意、または重大な過失によるケガ等
- 保険料の滞納期間中に生じたケガ等